七猿和歌
独り処して交らざるを愈(まさる、勝る、魔去る)とする。
壱、 つらつらと うき世の中を思うには まじらざるこそまさるなりけれ
世に処するに視聴(みきき)且つ言(ことば)なきを得ざるを歎ず
弐、 見聞かでも いわでもかなわざるものを うきの中にまじるならいは
世を厭わざるを悔ゆ
参、 つれもなく いとわざるこそうかりけれ 定めなき世を夢と見ながら
視ざるを愈となす
四、 何事も 見ればこそげにむつかしや 見ざるにまさることはあらじな
聴かざるを愈となす
伍、 きけばこそ 望みもおこれはらもたて 聞かざるぞげにまさるなりけり
言わざるを愈となす
六、 こころには なにわのことを思うとも 人のあしきはいわざるぞよき
思わざるを愈となす
七、 見ず聞かず いわざる三つのさるよりも 思わざるこそまさるなりけれ
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