サバイバル術

 備えあれば憂いなしの坊主説。

 転ばぬ先の杖は、何本あっても良いのだが、今回は経験上のNo.1オススメを紹介したい。


 夏場のナンバーワンは「防虫ネット」だ。

 水、火、ナイフの三種の神器は勿論大切なのだが、どんなに用意しておいても、一瞬で流されてしまうこともある。

 もしチャンスがあって、ひとつだけ持って逃げられるのならば、それは細かい目のネットだ。

 手ぶらで逃げてきたとしても、持ってきてしまっているものがある。

 それは「ココロ」だ。


 こいつが一番初めにダメージを喰らう。


 数ヶ月ほど、ガマ(海岸沿いの穴)で糊口をしのいだことがある。

 サハラ砂漠でもない限り、国内では水はなんとかなる。

 湿ったものに上手く火を付けたり、ナイフを使いこなす素人はあまりいない。

 でも、虫はいる。


 華々しく狩りをしたり、汚れた水を煮沸して... 

 海外でも、サバイバル系ドキュメンタリーが結構流行っているし、国内でもバラエティーなどで取り上げられる。


 一番の強敵はシンプルに、小さい虫クン達だ。

 私の場合は地域柄、ハブ等の気を付けなければならない奴らが他にもいたが、パニックになっても結局睡魔は襲ってくる。

 蚊とブヨにボっコボコに刺され、蟻やらなにやらに一晩中這い回られて、もしぐっすり眠っている人がいるとしたら、それは失神しているだけだ。

 
 うまくやれば、水がなくても72
時間、水さえあれば食べなくても21日間生きていることは出来るという。

 しかし、気がおかしくなるタイミングは一瞬だ。

 だいぶタフな人でも、水も食料も十分なのに、睡眠を取ることが出来ないという状況は相当キツイ。

 因みに私は、4日目の日の出と共に、気を飛ばした気がする。


 山の修行でも、常行三昧(90
日間、ひたすら「南無阿弥陀仏」と唱えながら、堂内をグルグル廻り続ける)とか「千日回峰行」とか色々ある。

 被災してみると、それはただの坊主の「シヌシヌ詐欺」にしか見えない。


 「いつ終わるのか? 先が見えない」という恐怖は、睡眠不足からきている要素が多い気がする。


 正常な判断が出来ていないときには、ちゃんと水すら摂れていない。

 下世話な表現をすると、上からも下からも、容赦なく垂れ流し出してしまう。

 自律神経が逝くからだ。



 うまく寝ることが出来ると、次の朝には「ひょっ」として、隣の人に「温かいことば」を投げ掛けてあげることが出来るかもしれない。

 おそらく、今年はこれから台風や水害をも含め、今までにない(いや今でも十分なんですけど)皆を試すようなヤツが来る。

 修行は独りきりなら乗り越えられるけど、集団の中でバランスを保つのって難しい気がする。


 準備しよう!

洞の間 ~Dougyou's room

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